気ままに生きます

人生いろいろ

映画 「沈黙」 感想

 

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んー。一言で言うときつい映画。

20:45開始で終了したのが23:50。

宣伝も込みの時間ですが、3時間座りっぱなし。

テーマは宗教。

激しいキリシタン弾圧の中で、棄教したとされる師の真実を確かめるために来日した、ポルトガル人宣教師のロドリゴとガルペ。

 

この映画を観て1つ思ったのは踏み絵などによる宗教弾圧は、決して日本だけが悪いというものではないというか、どちらが悪いなどというような単純な次元の話ではないということ。

確かに、強引で残酷な方法ではあるが、当時オランダ以外との国交を断絶するほど警戒心を強めていた国に、深く根付いている仏教の教えをわざわざ否定してまで宣教師が布教しにやって来るとなると、警戒心が強まるのも致し方ない気がする。もともと天草四郎などキリスト教徒が団結した島原の乱で幕府側が兵の数で圧倒的に有利だったにも関わらず、結局は苦戦し驚異を感じたというのが引き金となって鎖国が行われたという歴史的背景もある。(もちろんキリスト教徒のそのものが悪というわけではなく、厳しい年貢による取り立てやキリスト教に対する差別が原因ではある)

逆の立場で考えると、浄土真宗の信者がアメリカまではるばる渡米して、1から宗教を普及しようとすると同じような目にあっていたように思う。

 

それ故に、厳しい弾圧と日本人キリシタンの処刑に堪え兼ね棄教と布教の狭間で揺らぐロドリゴの気持ちも、日本におけるキリスト教の最後の宣教師としての使命を簡単に捨てる訳にはいかないと固く決意しどんな困難にも立ち向かおうとするガルペの気持ちも十分理解できた。

 

ここからは少しネタバレになるが、結局は自分の命を優先して同胞の教徒を密告したキチジローも、当初の目的を捨て祖国からはるばる海を渡ってきた弟子たちを結果的には裏切ったフェレイラも、いざ自分自身がその立場になった、と考えた時に責めることのできない人間の弱さを表しているように感じた。

やっぱり人間は宗教に1番何を求めているのかと言うと、救いを求めている訳であるが、神は決してこちら側には語りかけてこない。要するにすがることのできる対象である。先日、女優の清水富美加幸福の科学に出家したという報道があったが、過酷な毎日や辛い現実からなんとか逃れようとする中でふみかすもその場を宗教に見出したんだと思う。

無宗教である私だからこそ、彼らの「裏切り」に共感できたのかもしれない。