トライアウト
今日はトライアウトを見に行ってきた。
トライアウトというのはプロ野球12球団から戦力外通告を受けた選手や独立リーグなどのノンプロの選手がNPB復帰(要するにプロの球団に雇ってもらう)を目指す1つのアピールの場として行われる合同テストのことである。
今年は甲子園で行われるということでせっかくの機会なので足を運ぶことにした。
プロ野球というのは毎年新しい選手が多く入団していくが、また同時に多くの選手が球界を去っていく。
その中でもまだ夢を諦めきれない選手がアピールする最後の場所として毎年行われるのがこのトライアウト。
ここでプレーする選手は全員が各々の所属球団のユニフォームを着てプレイする。
その中にはプロではない独立リーグのユニフォームもちらほら含まれる。
今日は10時半スタートであった。
最初は外野内野のノック。
この時点で既に勝負は始まっている。
一歩目の早さ、送球の正確さなど。
普段キャンプや試合前で見る守備練習の緊張感とはこの時点で全く違う。
そしてある程度体をほぐした後はいよいよ本番。
今年は投手42人、野手23人が参加した。
トライアウトのルールは通常の野球とは少し異なる。
カウントは1ボール1ストライクからスタートする。
初球がボールになるか、ストライクになるかで雲泥の差である。
逆に打者側も初球にストライクを取られるとたちまち追い込まれる。
そのため積極的に打ちに行かなければならない。
シビアである。
年度によって異なるが、今年は特に投手が多いため、投手は打者3人と対戦し、アウトカウントの如何により交代する。
打者は交代で守備につきながら3〜5打席ほど打席に立つ。
やはり実績のある選手、地元阪神の選手、甲子園でかつて名を馳せた選手への歓声は大きかった。
選手個々のまさに人生をかけた真剣勝負の戦いである。
彼らの一挙手一投足に場内からの視線が集まる。
特に印象的だったのは同じヤクルトを今年戦力外通告になった寺田投手と川上竜平選手の対戦である。
お互いこの前までチームメイトで思うところもあると思うが、自分の野球人生をかけた勝負の場でそのようなことを考えている余裕はないと思う。
しかし、側から見てもかなり心にグッとくるものがある。
65人の中からおそらくプロ球界に復帰できるのは5人ほどである。それほど厳しい世界である。普段のような興業の野球ではなく、選手同士の己をかけた戦いであり、こちらにもその緊張感が伝わってきた。
張り詰めた空気の中響く打球音、ミットの音。
この中で誰を応援していたというのはあまりないが、とりあえず1つだけ言えるのはみんな幸せになってほしいということ。
合格してどこかに入団するのはもちろん、これが最後の場所になる選手もいるとは思うが納得のいく形で頑張ってくれれば…。
一プロ野球ファンとしてそう願わざるをえない日であった。
(野手不足の状況で中には内野手が誰もいない場面も…誰か守ってあげてよ)