気ままに生きます

人生いろいろ

映画 「デトロイト」 感想

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人は誰しも他者よりも優位に立ちたいという願望が根底にある。その当たり前な欲求が歪な形で変容すると、気づかぬ間に差別や偏見、レッテルを生む。そしてそれが人種単位で行われるとこのような悲劇を生んでしまうということを最悪の結果で証明した。

 

人という生き物は自らの過ちを認めたくないもので、ひとたび自分の方が優位であるとほんの少しでも思ってしまうとそれを覆すことは難しい。
当時の白人は「もう1967年だぞ」とは口では言いつつも、歴史的に見れば白人と黒人の間にははっきりとした上下関係があったことがまだ心の片隅に残っており、自分達白人の方が黒人よりも種族として上回っているという考えを共通の矜持として持ち合わせていたように思える。

だから例え白人達に誤りがあったとしても警察も、裁判所も決して認めることはなかったし、黒人が犯した犯罪も多くあるという逃げ道にすがり、事の本質から目を背けている。

 

この作品の素晴らしいところは、そういった差別や偏見を超越した根の深い問題を、自民族主義が蔓延しつつある今の時代にあえて再現しただけではなく、ミュージシャンを目指すある黒人の一個人としての心の葛藤も同時に描いている点である。
圧倒的な美声を持ちながらも、仲間を事件によって失った悲しみから白人達が喜ぶステージには立ちたくないと夢を諦め、教会で聖歌を歌う人生を選んだ若者を見て、これらの問題は大切な親友や夢をまで奪っているのだと思い知った。

映画 「帰ってきたヒトラー」 感想

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要するにトランプが大統領に就任して以来、世界各国で第2のトランプのような勢力が跋扈してきている現代のポピュリズムパラダイムに警鐘を鳴らしていて、そんな過激思想を持つ人間を選んだ国民も本質的にはヒトラーと同じである。そして最後のイスラエルの国旗を燃やしたりするシーンからも見て取れるように根底では70年経った現代でも変わっていない、というメッセージを伝えたいんだなというのは分かりました。
でも世の中には正論であっても「それ、お前が言う?」ということが多々あって良くも悪くもこの映画はそれに当てはまっているんですよね。当事者のドイツが作っていい作品なんでしょうかね。まあ何というかメッセージ性が強すぎるんですよ。ヒトラーというあまりに大きい隠れ蓑に隠れて言いたいことをドストレートに伝えるというのは皮肉のあり方としてあまり好きになれませんでしたね。南京大虐殺がテーマのこんな感じの映画を日本が仮に作ることができたとしても難しいですよね。色々と。

 

ヒトラーのキャラにもちょっと違和感がありました。結構イメージとはかけ離れていたので… ユダヤ人に糾弾されても平静を保っていられるような人物なんだと思いました。ちなみにそんな所までは詳しくないので面白いかどうかの判断には加えていないですが、本物のヒトラーに近い人物像なのか?とは感じました。

 

でも「パソコンはプロパガンダのツールとして最高だ」とかユーモアに毒が効いていたのでそこは楽しめました。

映画 「勝手にふるえてろ」 感想

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心の中に主人公ヨシカを飼っている私、オレにオススメの映画です。まるで自分の心の中を覗かれているのか…?と自分語りをしたくなる作品。

 

 

喪女で、慣れない場ではガチガチのコミュ障かと思いきや、1人になると途端に「F××k!!!」と大声で叫んだり、次々と枚挙にいとまがないくらいに罵詈雑言や皮肉をまくし立てる松岡茉優の演技の振れ幅が良かったです。

 

自分の身の回りで起こった出来事を曝け出していたあのコンビニ店員も、釣り人も、カフェ店員も、駅員も本当の名前は知らないばかりか会話をしたこともなく、10年間憧れ続けたイチにさえ君呼ばわりされ名前を覚えられていなかったヨシカ。そんな自分の存在そのものを認めてくれる人がいなかった中で唯一、江藤さんと名前を呼んでくれた二。手の届かない高嶺の花よりも身近なところで自分を大切にしてくれる人と一緒になったほうが幸せですよね。誰かに認められることは素晴らしいこと。ラストシーンで初めて二のことを桐島くんと本名で呼ぶのがいいですよね。ヨシカの中で二がイチの次でしかなかっただけの存在から桐島くんという一個人としてかけがえのない存在に変わった事が読み取れます。

 

BGMが隣人のオカリナという斬新な試みがあったり、かと思いきやロックマンエグゼのようなピコピコサウンドがあったり音楽も魅力的でした。

ボイスメッセージの1なら削除、2なら保存のくだりがしたかったから2人の彼氏はイチと二だったんでしょうか?笑

ちなみに学生時代のイチなんですが完全にベボベ小出祐介でしたね。こいちゃんそっくり!と思ってるのは自分だけかと思いましたが宇多丸師匠も思ってたみたいで安心しました。ちなみに勝手にふるえてろ宇多丸師匠も大絶賛です。

 

 

しかし印象的なセリフが多い映画でした。
二「そんな若い年齢で何かを成し遂げた人なんていないよ」というセリフに対して、
ヨシカ「ジャンヌダルクがいる!!」
という返しには思わず爆笑してしまいました。

 

大切な時に使ってと言われた赤い付箋をわざわざ二を家まで呼び寄せた時に使うなんてヨシカやるなあ。1度目は付き合ってくれとしか言わなかった二が結局最終的に大好きとヨシカに伝えるところとか…そりゃ付箋も剥がれるし、スマッシュも決まりますよね。心理描写にも伏線があって良かったと思います。

 

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実は年末と年明けに2回観てしまいました。2回目でもしっかり笑えました。

最後にこれだけ言わせてください。
ザッツビューティフルサンデーだよ!!

「キングスマン ゴールデンサークル」 感想

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やっぱり一番良かったのはアクションシーンではないでしょうか。
まずカメラワークがめちゃくちゃカッコ良くて臨場感がありますし、バックミュージックも曲のテンポや雰囲気が軽快なアクションと見事にマッチしていました。
コリンファースとタロンエガートンの共闘も2人のカッコ良さを倍増させていました。2人が横並びで相手に立ち向かっていく予告でもお馴染みのあの場面は気持ちよかったですね。コンビネーション技もキマっていて痛快でした。

コリンファースの最初の登場シーンが一見ダニエルカールかと見間違えるほど普通のおじさんで可愛かったです。

タイトルもいいですね。ゴールデンサークルはあくまでも敵組織の名前ですが、最後に王女との結婚を意味する金の指輪にも掛かっていて綺麗なラストでした。これにて文字通り「キングスマン」といったところでしょうか!

 

しかしメインキャラがバンバン消えていってしまうのが残念。誰かしら次回作で生きているとは思いますが、チャイニングテイタムをサブキャラのメインとして使いたいんだなあというのはヒシヒシと伝わって来ました。

そういった意味ではキングスマンシリーズ自体死そのものを軽く扱っている節はありますね。

前作でも花火が打ち上がるかのようにパンパン首が飛んでいっていましたし、今作も「え、もう死んじゃうん?」という描写が多くそういった意味では少し毛嫌いしてしまう人がいるかも。

 

しかし「マナーズメイクマン」等前作を見ているとなお楽しめるシーンが満載の新時代のスパイ物映画だと思いますので、キングスマン無印を見てからゴールデンサークルを見ることを是非オススメします。

ちなみに今作は敵キャラがミキサーでミンチにされ、そのひき肉をハンバーガーにして出すという結構イカれたシーンがあるのですが、アメリカのカフェではキングスマンコラボのメニューとしてハンバーガーが提供されているようです。最高に狂ってます!

「バーフバリ 王の凱旋」感想

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インド映画史上最大ヒットを記録した話題作。

宣伝ポスターから分かるようにもう全てが予想外で規格外なんですよね。
弓矢を同時に3本射るなんてまだまだ序の口でヤシの木をパチンコ代わりにして城壁を飛び越えたりするのが当たり前な世界でそのあまりの破天荒さに5分に1回は度肝を抜かれ思わず笑ってしまいます。


しかしストーリーは完全にキングダムで胸熱な展開。そしてバックではインドの愉快な音楽が爆音で流れ続けます。多幸感マックスの映画です。
このご時世ではもう見る機会もない目を丸くする大げさなリアクションのカットもシュールで良かったですね。
見るものをハッピーにさせる最高の娯楽映画です。


バーフバリ!バーフバリ!