映画 「ナイトクローラー」 感想
結局、人間って言うのは外面では取り繕っていても下賤な話題が大好きなんですよね。
他人のプライバシーを詮索するなんて趣味が悪いなあと思いつつもどこかで必要以上の事柄を知りたい好奇心があるわけです。事故現場に来る野次馬や人が困っているのに平気でカメラで撮影する人はどこにでもいるのです。ワイドショーでは四六時中芸能人のスキャンダルが垂れ流されていますし、心の片隅では文春砲を期待しているものなんです。
このナイトクローラーなんてまさにそういった人間の汚い面を惜しげもなく映し出した見事な作品だと思います。
主人公は定職も学歴もない盗みで生計を立てている人間ですが、ある日パパラッチの現場に遭遇します。そこから見よう見まねで小型カメラでスクープの瞬間を撮影し、徐々にテレビ局からの信頼を得て成り上がっていきます。
同業者の不幸をもスクープとして取り扱いカメラを回し続ける主人公。ある種の狂気が感じられましたが、いわゆるカリスマ的な存在の人は何かしらの狂気を持っているんだと思い知らされました。
一見地味な題材から徐々にストーリーが加速し、手に汗握る場面が繰り広げられる展開に最後まで釘付けになってしまいました。目を細めたくなる光景がかなりありましたが、それでも見たくなる人間の心理を上手く活用した作品だと思いました。