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人生いろいろ

2017年 公開映画1〜5本目 「ヒトラーの忘れもの」「幸せなひとりぼっち」「ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー」「沈黙-サイレンス-」「ザ・コンサルタント」 感想

もう2017年も終わるので今年見た今年公開の映画の感想を一気にまとめていきたいと思います!

 

1.ヒトラーの忘れもの

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今年初映画館は「ヒトラーの忘れもの」。
終戦後、デンマークの西海岸沿いにナチスドイツによって埋められた数多の地雷。その数約200万個。その膨大なる地雷の撤去作業に当たったのはなんとドイツ残党の少年兵でした。
地雷について右も左も分からない少年達は一からデンマーク軍の軍曹から除去方法を教わります。慣れない手つきでカタカタと手を震わせながらおそるおそる信管を抜くシーンは手に汗を握ります。ひとたび失敗すると命を落としかねない状況。その緊張感がスクリーン越しにひしひしと伝わって来ます。
まるで真っ白なキャンバスに青い絵の具で描いたような透き通る青空と、キラキラと光り輝く砂浜の下、匍匐前進をしながら等間隔に丁寧に1つずつ短い鉄棒を刺して地雷を慎重に探していく光景は衝撃的でした。
犠牲者が増えるごとに増していく死の恐怖、任務を完遂したとしても本当に国に帰ることが叶うのかいう不安がこちら側にダイレクトに伝わってきて目の離せるシーンは1つもありませんでした。
また、ドイツに強い憎しみを持ち初めは強く当たっていた軍曹も、同じ月日を共に過ごすことで仲間意識が徐々に芽生えつつありましたが、それは同時に薄氷の上を渡るようなふとしたことで壊れる脆い関係でもありました。少年兵達とどう向き合えば良いのか葛藤を重ねる軍曹にもこの映画の見所はありました。
英題は「LAND OF MINE」ですがこれが本当にいいタイトルなんです。MINEが「地雷」と「私の=ドイツの」という2つの意味にかかっており、かつてデンマークを支配していたドイツ自身の手によって、敵国の上陸を防ぐために埋められた地雷が敗戦後には牙を向いて自分たちの首を絞める兵器に結果としてなってしまったという歴史的背景をこのタイトルだけで表している点には思わず唸ってしまいます。
この「ヒトラーの忘れもの」はどこか「この世界の片隅に」に通ずるものがあると個人的に思います。すずさんが嫁ぎ先で過ごした日々の暮らしと束の間の余暇で無邪気に戯れる少年兵の姿は同じ戦争映画内における緩急という点では共通しています。辛いことだけではない、しかし常に死と隣り合わせの状況に瀕しているというリアルな描写が見る者を惹きつける要因だと思います。
上映されている映画館が少ないのは残念ですが、オススメの映画です。

ちなみにヒトラーの忘れものとローグワンは正確には2016年公開ですが、自分が観たのが2017年なのでここで紹介させていただきます。

 

 

2.幸せなひとりぼっち

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感情表現が下手なだけで、実は優しい心の持ち主というのは世の中にはたくさんいます。


妻を亡くし早く後を追いたいと自殺未遂を繰り返したおじいさんが、次第に周囲の人と打ち解けていくうちに露わになる本当の優しさはどこかグラントリノに通ずるものを感じました。
ストーリー重視、映像重視の映画も当然素晴らしいのですが、この映画はオーヴェという短気ではあるものの、捨て台詞や恨み節を吐きつつもなんだかんだで困っている人を助けてくれるおじいさんありきで展開していくハートフルストーリーです。

内容的には起伏のあるストーリーではないものの、時々クスッと笑えて最後には泣けます!スウェーデンで歴代興収ランキング3位にランクインしたということですが、それも納得の作品でした。今年劇場で唯一2回見た作品です。

 

 

3.ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー

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いやあ良かったですよ、ローグワン。
デス・スターの設計図を奪った、というあの一行からここまでストーリーが膨らむものなんですね。

正直今回の作品はライトセーバーも出てきませんし、結末も初めから想定できるものです。
しかも正史では日の当たらなかった人たちにあえてスポットを浴びせました。
それでも圧倒的なCGや憎めないドロイド、勇敢な反乱軍の戦士たちは心を打つものがありましたし、1話完結な分展開も早くて良かったです。
やっぱり自分はこういう個々が自らを犠牲にしてまでも1つの目標を達成し、希望を未来へと紡いでいくというストーリーが好きなのかもしれません。

ラストでレイア姫のシーンへと繋がっていく場面も胸を打たれましたし、改めてエピソード4 新たなる希望というタイトルがルークという新たなジェダイだけではなく、デス・スターの設計図にも込められているんだということが分かり感慨深い気持ちになりました。
と、同時に「フォースと共にあらんことを」という言葉にこれまでで最も重たい意味を感じました。

個人的にはいつもとは逆の、お馴染みのライトセーバーでの一騎打ち以外の展開もあってもいいと思っていたのでとても新鮮な気持ちで観賞することができとても満足しました。

ただ序盤は誰が誰なのか人物関係が中々掴めず戸惑った、というのは確かにありました。

 

 

4.沈黙-サイレンス-

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んー。一言で言うときつい映画。予告込みでほぼ3時間座りっぱなし。
テーマは宗教。
激しいキリシタン弾圧の中で、棄教したとされる師の真偽を確かめるために来日した、ポルトガル人宣教師のロドリゴとガルペ。

この映画を観て1つ思ったのは踏み絵などによる宗教弾圧は、決して日本だけが悪いというものではないというか、どちらが悪いなどというような単純な次元の話ではないということ。
確かに、強引で残酷な方法ではあるが、当時オランダ以外との国交を断絶するほど警戒心を強めていた国に、深く根付いている仏教の教えをわざわざ否定してまで宣教師が布教しにやって来るとなると、警戒心が強まるのも致し方ない気がします。もともと天草四郎などキリスト教徒が団結した島原の乱で幕府側が兵の数で圧倒的に有利だったにも関わらず、結局は苦戦し驚異を感じたというのが引き金となって鎖国が行われたという歴史的背景もあります。(もちろんキリスト教徒のそのものが悪というわけではなく、厳しい年貢による取り立てやキリスト教に対する差別が原因ではある)
逆の立場で考えると、浄土真宗の信者がアメリカまではるばる渡米して、1から宗教を普及しようとすると同じような目にあっていたように思います。

それ故に、厳しい弾圧と日本人キリシタンの処刑に堪え兼ね棄教と布教の狭間で揺らぐロドリゴの気持ちも、日本におけるキリスト教の最後の宣教師としての使命を簡単に捨てる訳にはいかないと固く決意しどんな困難にも立ち向かおうとするガルペの気持ちも十分理解できました。

ここからはネタバレになりますが、結局は自分の命を優先して同胞の教徒を密告したキチジローも、当初の目的を捨て祖国からはるばる海を渡ってきた弟子たちを結果的には裏切ったフェレイラも、いざ自分自身がその立場になったら、と考えた時に決して責めることのできない人間の弱さを表しているように感じました。
やっぱり人間は宗教に1番何を求めているのかと言うと、救いを求めている訳ですが、神は決してこちら側には語りかけてきません。要するにすがることのできる対象なのです。女優の清水富美加幸福の科学に出家しましたが、過酷な毎日や辛い現実からなんとか逃れようとする中でその場を宗教に見出したんだと思います。
無宗教である私だからこそ、彼らの「裏切り」に共感できたのかもしれません。

 

 

5.ザ・コンサルタント

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会計コンサルタントの裏の顔は実は殺し屋。しかし言うほど暗殺してはいませんでした。ストーリーはザ王道。ベンアフレックの見た目は太った中年男性だが、実はハチャメチャに強いっていうギャップが良かったです。

ただ個人的には全体を通じてあまりひねりが無かったかなあという印象。