映画 「夜は短し歩けよ乙女」 感想
あれは浪人生の頃、
センター試験が終わり少し気が抜けた雰囲気が漂っている河合塾の自習室で、
初めて「夜は短し歩けよ乙女」を読んだ。
大阪の人間とはいっても、どこかしら京都に憧れていた私は、森見登美彦の巧みな文章力と個性豊かな登場人物に魅入られ作品の世界観にどっぷりと浸かってしまった。
それから6年、何とついに映画版が公開されることとなった。
活字で読む「詭弁踊り」や「偏屈王」を映像でどう表現するのか、表現できるのかが気になっていたが、そんな不安を微塵も感じさせない素晴らしい映像化であった。
軽妙な絵のタッチがほとんどノンフィクションに近い森見ワールドを上手く描けていた。
また、黒髪の乙女に会いたい、近づきたいと思う一方でその勇気ある一歩を踏み出せない主人公の心情が独特な台詞回しやタッチで表現されており、そういった面でも楽しめた。